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「 現場のかたわらにいてくれる
唯一無二の存在 」
「全国を異動する公務員」として全国各地の自治体にて
政策アドバイザーや人材育成に務める吉弘 拓生さん。
お互いを名前で呼び合うフラットな関係性の中で
人材育成の課題に向き合い走る2人。
これまで一緒に取り組まれた研修内容や
かたわららしさを感じるシーンについてお話を伺いました。
・一財)地域活性化センター職員向けの人材育成研修
・人材育成アドバイザーとして地方自治体の組織創りを
長期にわたり伴走
・地方自治体の職員向け人材育成研修企画・講師
・吉弘さん自身のNo.2としてかたわらで伴走
株式会社オンリーワン
代表取締役
内閣官房 地域活性化伝道師
吉弘 拓生さん
株式会社 かたわら
佐藤 彰悟
「全国を異動する公務員」として全国各地の自治体にて
政策アドバイザーや人材育成に務める吉弘 拓生さん。
お互いを名前で呼び合うフラットな関係性の中で人材育成の課題に向き合い走る2人。
これまで一緒に取り組まれた研修内容やかたわららしさを感じるシーンについてお話を伺いました。
吉弘 拓生さんへかたわらが提供しているサービス
・一財)地域活性化センター職員向けの人材育成研修
・人材育成アドバイザーとして地方自治体の組織創りを長期にわたり伴走
・地方自治体の職員向け人材育成研修企画・講師
・吉弘さん自身のNo.2としてかたわらで伴走
— 最初に一緒に取り組まれたお仕事についてお聞かせください。
吉弘さん:2019年にご一緒した地域活性化センター職員が受講する「人材養成塾」の研修講師を彰悟さんにお願いした時が最初になります。
佐藤:ご一緒したきっかけとしては、以前から北海道で繋がりのあった岩見沢市職員の東出さんの紹介です。地域活性化センターへ出向されたとき、「ぜひ拓生さんに紹介したい」と言ってくれて。
吉弘さん:人を紹介するなんて滅多にない同僚からの紹介だったので、どんな方なんだろう…。どんな繋がりなのかを聞く前に一度お会いしてみたいなと思いました。
— 東出さんと彰悟さんは何の繋がりだったのでしょうか?
佐藤:東出さんと出会う前まで少し遡ります。北海道で就活生向けのキャリアサークル「就カフェ」の活動を複業として取り組んでいたとき、「就カフェ」の活動を地元の新聞で取り上げてもらったことがありました。その記事掲載と友人からの紹介をきっかけに厚真町職員の方から「大学生と一緒に何かやりたい」と相談していただいて。大学生のフィールドワーク型インターンシップの企画を担当し、3ヶ月間かけて伴走したことがありました。
吉弘さん:それは初めて聞きます。とても面白い取り組みですね!
佐藤:その後、厚真町でのプロジェクト実績を地元新聞で見た岩見沢市からも問い合わせいただき、ご一緒することになったのですが、その際「就カフェ」との連携プロジェクトの窓口を担当してくれたのが東出さんでした。東出さんはインターン現場でご一緒する機会があったのですが、「彰悟さんが学生さんに伝えている内容は、私たちにとっても勉強になるものばかりです!」と言ってくれたことが拓生さんとの繋がりの始まりだったんだと思います。
— 現在では地域活性化センターの人材育成に留まらず、さまざまな自治体へと活動を広げられていますよね。
吉弘さん:そうですね、養成塾を経て私から「自治体の人材教育も一緒にやってみませんか?」とお声がけしました。
— 自治体でも一緒に取り組みたいと考えたのはどういった課題感からですか?
吉弘さん:実は、2019年頃は自治体を退職する人が急激に増えてきた時代。公務員の特性上、担当する仕事の継続性の担保もなければ、キャリアアップのビジョンも描きにくいです。公務員の世界は必ずしもやりたい仕事ができるわけではないし、毎年のように異動していくのが当たり前。例えば、観光プロモーションをやりたいと思っても、税務課や市民課に異動することも日常茶飯事です。
佐藤:民間企業でいうなら、「総合職」なのかなと僕は考えています。ですが、民間企業は会社が提供するサービスや商品が明確な一方で、自治体は「このまちのために」という想いだけで入庁しているとは限らないですよね。
吉弘さん:そうですね。一部には「現状を変えるようなことはしなくていい」という考えの人もいて、それも影響していると考えています。「このまちのために頑張りたい」と思って動く人が浮いてしまい、離れていく人が多かったのです。
— 意欲のある人材が離れてしまうのはとてももったいないですよね。
佐藤:意欲のある職員の方々がつぶされない状態で内包しつつ、人材育成していくという難しさは日々感じます。
吉弘さん:公務員は入れ替わりが常ですから、属人的な関係性によって課題が生まれることも多い。だから、中の人ではなく外側から長期間同じ人が伴走し続けることに意味があると考えています。
— 最初に自治体の人材育成にかたわらが参画したのは「北海道北斗市」だったとか。
吉弘さん:そうです。今こうしてさまざまな自治体で彰悟さんとご一緒したいと強く思うようになったのは、北海道北斗市での仕事がきっかけといってもいいですね。
佐藤:北斗市の案件で今でも鮮明に覚えているのは、一番最初の打ち合わせ。初めて伺った際には幹部職員やみなさんの前であえてMacBookを開かずに、簡単な紙資料を用意したんです。
吉弘さん:あれは衝撃でした(笑)。なかなかできないことだなと思いながら見ていました。ついつい「データがあります」とパソコンを開いて提案したくなるはずですから。
佐藤:最初の打ち合わせでMacBookを開いたら、心を閉ざしてしまうかもしれないなと思ったんです。僕自身がローカルな現場で長く活動をしてきたからあった感覚かもしれません。最初の打ち合わせは総務課長の困り事を聞くことに徹し、提案はしませんでした。
吉弘さん:こちら側の文化も汲み取ってくださる姿勢からも、「心強いし信頼できる」というのを僕だけでなく、関わる人全員に感じさせてくれるのは本当にいつもすごいなと感心しきりです。
— 北斗市の事業についても詳しくお聞かせください。
吉弘さん:最初の打ち合わせを終えてから、彰悟さんに「北斗市の全職員にアンケートを取れないか?」と相談されました。まずは現状の課題にまつわるアンケートを通じて、現状把握を一緒に取り組みました。
佐藤:アンケートを取ろうと思った理由は、人材育成基本方針という理想と実際の現場の状況とのギャップの解消をすることが大切だと考えたからです。これは人事をやる前にマーケティングをやっていたことが背景にあるかもしれません。今回のように人材育成基本方針を立てるのは、理想を立てる作業ともいえます。しかし、理想を立てても、必ず現場の現状とのギャップは生じるものですから。
— 実際、アンケートからは正しく現状を把握することはできたのでしょうか?
吉弘さん:把握できたと思います。というのも、アンケートが返ってきたとき、彰悟さんはアンケートが返ってこなかった人にも焦点を当てて、答えていない人の声までしっかり拾ってくれました。これはとても新鮮でした。
佐藤:答えていなかった方から聞こえてきたのは「答えても意味がない」「変わらないから」という声でしたね。
吉弘さん:一般的に「答えても変わらないだろう」というなんとなくの雰囲気はあったものの、声を最初の段階でしっかり聞き出せたことは本当に意味のあることだと思いました。
— そしてここから具体策を考えていったのですね。
吉弘さん:研修コンテンツを考えるのもそうなのですが、彰悟さんは「どうしたら研修に参加したくなるのか?」という視点を常に持ち続けてくれていたのも印象的です。
佐藤:実際、2023年度でちょうど3年間の伴走を終えたわけですが、研修の回を重ねるごとに参加人数が増えたり、常に新しい参加者がいたりする状態まで一緒に持っていくことができたのは嬉しかったです。3年目最後の開催となったアンガーマネジメント研修では50人以上の方々が参加して下さり、次年度以降も伴走を継続して欲しいと市側から要望を受けました。
吉弘さん:研修参加者はコンスタントに20〜30人を維持できたのも大きな実績ですし、管理職の参加率が上がっている点も個人的に良い作用が働いているなと思っています。
— 彰悟さんの研修にはどんな特徴があると感じますか?
吉弘さん:研修感がないところが特徴かな。強制的なものではなく、ちょっと行ってみようかなと参加者が思いたくなる感じがあります。
佐藤:基本的に僕は大学の講義のようなスタイルはしません。コンテンツは違えど、どの研修でも座席配置を島型に配置して「総合交流の場」になるようにこだわっています。例えば、同じ部署の上司部下は同じ島にしないといったこだわりを事前にお願いしています。
— それは、別部署との関わりに価値があるということですか?
吉弘さん:実際に、北斗市でも自然発生的に交流が活発になってきているなと感じています。僕自身、自治体との関わりの中で一つのものさしにしているのが「日常会話があるかどうか」という点です。北斗市では研修を通じてそれが増えてきています。
佐藤:この間のアンガーマネジメント研修後には「怒りが湧いた時の6秒ルールが市役所内で話題になっています」と連絡をもらいました。純粋に嬉しかったですし、3年間の伴走の中で一つのゴールを達成できたのかなと。
— 吉弘さんが他自治体とも一緒に伴走してほしいと思う理由は他にもありますか?
吉弘さん:北斗市での取り組みを通じて自治体の抱える人材育成の課題に対して、彰悟さんと一緒なら改善のアプローチができそうと考えるからです。今だから言えますが「民間と自治体の人事マネジメントは違う」と思っていましたが、彰悟さんはその考えを破ってくれて。1,718自治体ごとに考え方は異なりますし、課題も1,718通りあります。だから、彰悟さんのように自治体の事情も理解しつつ長期間伴走するスタイルは自治体にとって真の課題にアプローチするには欠かせないのではないかと思います。計画を立てるだけじゃなく、実行まで一緒に走ってもらえるのは、本当に心強いです。
佐藤:実際、これまでもさまざまな自治体とご一緒する中で、上層部が感じている課題感は案外空を切っていることも多いと感じることもありましたね。
吉弘さん:そうですね。だからこそ北斗市の時のようにまずはしっかりアンケートで現場の声を聞いて真の課題は何かを分析したいと思いますし、そういう時には必ず彰悟さんが頭の中に浮かびます(笑)。
佐藤:本当にありがたいです(笑)。僕は、アンケートは諸刃の剣でもあると思っていて。北斗市でも出てきていた「変わらないじゃん、意味ないじゃん」と思わせないことが大事です。どうしてもアンケートをすること自体が変化に対する期待値を上げてしまうので、自治体の担当者の方には、声を受け止める覚悟を持って一緒にやり抜いて欲しいとしっかりお伝えします。
吉弘さん:ここまで彰悟さんが言うところははっきりいってくれるのも、一緒に伴走して欲しいと思うポイントかもしれません。
— 今後かたわらとどのようなパートナーでいたいとお考えですか?
吉弘さん:今と変わらずに、フラットに「拓生さん」「彰悟さん」と呼び合う仲でいたいですね。
佐藤:拓生さんは「先生!」って呼ばれる機会の方が多いですもんね(笑)。
吉弘さん:僕だけでなく、地方自治体全体でも同じようにフラットに関われる存在を求めているんじゃないかなと考えています。形だけの人材育成ではなく同じ思い、同じ尺度、時には別の視点を持ちつつ一緒に走っていく人材育成がこれからの時代必要なんだと思います。
— 彰悟さんから別視点が入ることが心強さになっているのですね。
吉弘さん:言いにくいことも意見してくださいますし、ビジネスベースや無理して事業を続けることに持って行かずに「止まる決断」を一緒にできるのも本当に心強いです。
佐藤:僕は限られた時間の中でも、拓生さんが関わることでよくなっていく自治体を増やしたいと思っているから、打てど響かずな時のラインをある程度想定しておきたいと思っています。
— 他にも、彰悟さんの伴走で魅力に思う部分はありますか?
吉弘さん:あとは実地の良さを同じように感じてくれているのも嬉しいです。コロナ禍を経て良くも悪くもオンラインで完結することが多くなりましたから。
佐藤:2022年から現地へ伺って研修することが増えてきた時「やっぱり実地がいいなぁ」って思いましたね。
— 実地の良さとはどういったところにあるのですか?
佐藤:研修効果が違いますし、僕と参加者の距離感が違います。研修後に「少し聞きたいことが…」と聞くハードルはオンラインだとかなり高いじゃないですか。
吉弘さん:おっしゃる通りで、研修終わりの雑談のようなざっくばらんと話せる場とかも失われつつある現状にも危機感を感じています。
佐藤:他にも、自治体だからこそでいうと「地域を見ること」も僕は大切にしています。街が何に力を入れているのか、周囲の施設や駅前のシャッター街も見るからこそ職員の皆さんと課題感を同じ視点になって向き合える気がしますね。
— 最後に、吉弘さんにとってかたわらとはどんな存在でしょうか?
吉弘さん:「唯一無二の存在」でしょうか。再現性がない、彰悟さんだからできることがたくさんあるとこれまで一緒にやってきて感じています。だからこそ僕は「彰悟さんといえばこれ」と自分の中で決めつけないようにしていますね。これからも実地で一緒に走り抜けてほしいです。